されどきのぶろ。

元ホテリエのアラサー女のやるせないブログ。 雑記を中心に、ホテル・結婚式・アニメゲーム・ブログ作成・資産運用の事などをほざきます。

クレームに対峙してみた話。~理解してる?正しいクーリングオフの使い方~

こんにちはキノです。

今から数年前、アパレルの店長をやっていました。毎月ドカーンと目立つ売上額はないものの、そこそこお客様も定着して安定した収益をあげている店鋪だったと自負しています。さて、接客業をやっているとどうしても避けて通れないのがクレーム。

これが本日のテーマです。

 

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クレームの頻度

当然起こさない事が最善ですので、細心の注意は払うものの、沢山の方とのやり取りの中どうしてもクレームは発生してしまいます。

 

もちろん原因がお店側にある場合は誠心誠意対応させて頂くけども、それがどう見てもお客様都合の理不尽な理由・理不尽な要求といったケースが数年に1度くらいのペースで起きるんですよね。 

 

今日はそんなエピソード中から一つお話していきつつ、クーリングオフについて少し学んでいきましょう。

序章:ことのあらまし

第一話:とんでもないお客様が来店された!

そのお客様は(以後A様とするよ。)は約一か月前に一回目のご来店。当日は衣類を2着購入していただいたのですが、残念ながら翌日になって2着とも返品となりました。理由は「同じものをもうすでに持っていたから」という内容だったのですが、初めての来店ということもあり今回だけはということで返金対応しました。

 

その数日後、A様今度はご友人と二人でご来店。「この間はごめんなさいね、今日はお詫びも込めて友達を連れてきたの」というA様。あぁ、なんていい人なんでしょう。

 

2〜3時間洋服の試着を経て、数十枚の洋服をチョイス。一人でおよそ二十万円分の品物を買っていきました。いわゆる棚買いってやつです。

 

「うわっどうしよう。棚すっかすかになっちゃったよ。」

「売るものないですよ!店長どうしましょう!」とかきゃっきゃうふふやってました。 棚買いする人なんてそう滅多にいないので、我々にとってはとってもありがたいお客様です。

 

 

そう、その時までは・・・「また来てくれないかな~」なんて呑気なこと言っていましたが、その願いはあっけないほどすぐ叶ってしまいます。

 

数日後…大きな袋を何個もカートに載せて来店したA様。

要求は全商品の返金でした。

 

唖然とする私。さて、どうなることやら。

第二話:A様が主張する返金希望の理由

A様の返金希望する理由は単純明快です。「家に帰って冷静に考えてみたらこんなの着ないと思った」との事。

 

ほつれがあった、汚れがあった、印刷に不具合があったなどの理由はもちろん対応するのです。また、サイズが合わなかったなんてものにもなんとか対応します。言葉は悪いですが、もう少しましな理由なら考えましたが、今回の要求は流石に受け入れられない・・・しかも1着や2着ならまだしも数十枚レベルではさすがに無理ってもんです。

 

せめて他の物との交換でしたら対応します。返金は勘弁して下さいと正直に伝えると「消費者センターに相談したらクーリングオフ制度使えるっていわれた」と用意周到な返答。

 

・・・あ、そこもうすでに相談してるのね。そこでまず感じたのが「こりゃ、しょっちゅうやってるかもなぁ。」という印象。

 

実際、その後A様に話を聞くと「伊勢丹やユニクロ、イケア、あと高島屋に東急もやってくれる!!」 と主張していたので結構手馴れているようです。

 

 

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なるほどイケアは企業全体としてそういったことを受け入れてるみたいですね。それにしても365日、開封はもちろん使用しててもOKというところがすごい…。

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番外編:そもそもクーリングオフって。

今回A様は消費者センターに相談した結果、クーリングオフが適用されると言われたと主張していました。

 

しかし、まずこれは非常に眉唾な話なわけです。

 

結構、クーリングオフについての知識があいまいになっている方を見かけるのでここで改めて整理してみようと思うよ。 

 

①クーリングオフは何のためにあるの?

「クーリング・オフ」とは、契約した後、頭を冷やして(Cooling Off)冷静に考え直す時間を消費者に与え、一定期間内であれば無条件で契約を解除することができる特別な制度のことをいいます。
 一度契約が成立するとその契約に拘束され、お互いに契約を守るのが契約の原則ですが、この原則に例外を設けたのが「クーリング・オフ」制度です。

クーリング・オフって何?(見守り情報)_国民生活センターより引用。

 

 

そして商品を受け取って8日以内だったらクーリングオフができるんですね。 たしかに今回のA様のケースでは「買った当時は冷静ではなかった」の主張が当てはまるかもしれませんが、実は次のポイントが大切です。

 

②クーリング・オフできる「取引方法」はそもそも限られている。

この世のすべての取引がクーリングオフで守られているかというとそうではないんです。以下の物のみが、クーリングオフが可能な取引です。

 

  • 訪問販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 特定継続的役務提供
  • 業務提供誘引販売取引
  • 訪問購入

 

ここでのポイントをわかりやすくまとめれば

 

「自分で実物を見ていない」「マルチ商法にひっかかった」「押し売りされた」「突然押しかけてきて買うまで帰ってくれなかった」といったような取引は消費者が守られるわけです。当然ですよね。

 

 

つまり店頭で自分の目で選んで、自分の意志で購入した物はクーリングオフ対象外なんです。ここ、誤解されてる方とーっても多いです!

 

余談ですが、自ら足を運んで自分の意志で購入したものでも以下の物はクーリングオフ対象です。上のリストでいう特定継続的役務提供にあたります。

 

 クーリング・オフ制度の対象となる特定継続的役務提供
特定継続的役務期間金額
エステティックサロン 1カ月を超えるもの いずれも5万円を超えるもの
語学教室 2カ月を超えるもの
家庭教師(通信指導等含む) 2カ月を超えるもの
学習塾 2カ月を超えるもの
パソコン教室 2カ月を超えるもの
結婚相手紹介サービス 2カ月を超えるもの

 

 

③ここまでは法律上のお話。

さて、ここまではあくまで「特定商取引法」上のお話です。

 

後は店側が「お客様へのサービスの一貫」として、返品・返金対応についてはそれぞれ会社毎に方針を決めています。先程のイケアの例はやりすぎ感が否めないですが、よく見る対応としては以下の通り。

 

  • レシート持っていれば返金する
  • 未開封なら返金する
  • 返金は出来ないけど交換はする
  • 同額の金券を発行する

 

人と人とのやり取りですからそこには様々な感情が飛び交います。例えば、常連の人に対して、たった一回の返品を法律を盾に応じなければ、その顧客が他のお店に取られてしまうかもしれませんからケースバイケースで対応するというのが現場での認識です。

 

しかし、今回のケースは非常に受け入れがたい内容です。2回購入して頂いたものの、2回ともお客様都合の返金ですからね。とはいってもこんな話、つらつらしても今回のお客様が納得して頂けないのはすごくよくわかります。

 

閑話休題 本編に戻ります。

第三話:場所を替えてお話を聞いてみる。

とりあえず、他のお客様の目もあるので別室へ。場所を変えるのはクレーム処理の基本中の基本ですよね。

 

いくらか落ち着いてきたころにA様がポツリ。

 

「友人と二人で来てた手前、全部買って羽振りがいいところを見せたかったのよ、わかるでしょ?」

 

「はぁ。」

 

「だからお願い、全部返金してっ☆」

 

「・・・。」

 

改めて返金は出来ない、せめて他のものへの交換対応ならする。というお話をしました。するとA様この繰り返しで埒が明かないと思ったのでしょう。今度は「周りの友人にこの店の悪評を流す!」と言い始めました。 

 

いやいや困った。

 

とりあえず上司と交渉するとして、部屋を出て電話をかけること2回。2回目に関しては多少パフォーマンス的な要素が強かったのですが、いずれにせよ結論は覆らないことをお伝えするわけです。 

 

Aさんも納得いかず、話は平行線。そうなったらもう最終手段しかありません。「私もサラリーマンなんです、、、会社の方針に従うしかないんです・・・あ、そうだ!消費者センターにもう一度相談されてはどうですか?そこ経由で会社叩いてみて下さい。」と逆にお願いしてみました。

 

これでようやく、A様もあきらめていただけました。 

最終章:A様最後の要求。

その①まず、似合うっていうな。

「似合うと言われたら浮かれて買ってしまう。だから似合うと言うな。」 というAさんの主張。

 

試着時に無言でも気まずいですし、「お客様、大層似合いませんねー。」とは言えないので難しい物があります。 

その②返品できないことを会計の時一人一人にいう事。

必ず販売時に「これは返品できません」と一言付け加えるように、徹底して下さいとの事。これは絶対不信感わきますよね・・・。

 

「お会計5400円です!はい、ありがとうございます。おつり600円ですね・・・それとお客様、返品は出来ませんのであしからず(ニヤリ」なんて言ったらそれこそクレームきます。 

 

何はともあれ最終的には帰って頂きましたが全部で4時間くらいかかった記憶があります。

  

まとめ 

店員だって人間なんです。

「お客様は神様」という言葉は誰が言い出したか知らないですけど、売る側・買う側の立場の格差が酷いと感じる時があります。

 

勝ち負けではないけど神対人では勝てる要素ありませんからね。昔、土下座させられた洋服屋の店員が写真で撮影されてツイッターで拡散炎上する事例もあったけどそういうの見るとなんか違うんじゃないのかなぁと感じてしまう。

 

一方で海外に行くと、私自身物を買う時に雑な扱いをされて「えっ」とびっくりすることがあるんだけど、それは日本人ならではの感覚なのかもしれないね。そして、これは私の想像にすぎないんだけど、海外の場合はあくまで人と人でお互い対等に物事を考えてるからなんじゃないかなぁ。

 

「私、物を買ってあげてる」に対して

「私、物を売ってあげてる」

 

あら対等じゃん!みたいな。

 

「おもてなし精神」が美とされる日本において、今から国民全員の意識の変革をするのは非常に難しいけど、少なくとも相手も人間なんだよという事を頭の片隅に置いて過ごせる人が増えれば平和な世の中になっていくと思います。

 

それといざという時守ってくれるクーリングオフの正しい知識を持ってお買物しましょ。

 

それではキノでした。

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