IPOの解説から始めましょう。
前回登場した「IPO」についてを少し掘り下げる。
まず初めにIPOは「あいぴーおー」と読みます。「いぽ」でも「あいぽ」でもありません。
由来は
I・・・Initial(初めの)
P・・・Public(公開の)
O・・・Offering (売りだし)
の頭文字を3つならべたものですので
その訳は、「新規公開株」「新規上場株式」という意味ですね。ご存知の方も多いかとは思いますが改めて。
新規公開株ってなに?
そもそも株ってなんでしょう。
通常、どんなに小さな会社でも「株式会社」であれば「株」を持っています。まず、会社を作るにはお金が必要ですよね。※法的には資本金1円でも株式会社は作れますが、あくまで現実的なお話をします。
手持ち0円では事務所も借りられませんし、パソコンも買えません。これからビジネスを始めるにあたって、売りたいものを仕入れることも出来ません。
そしてそういった初期費用を集めるのに、この「株」が扱われます。ビジネスを起こすにあたり出資者になってくれる人に株を売って、初期費用・・・つまり資本金にさせてもらうんですね。もちろん買うのは自分でもいいわけですよ。
ここは簡単に手っ取り早く考えるとして「株」=「お金出してくれてありがとね証明書」と考えてください。ちなみに原則的に「返す必要性」はございません。
上のような入手手段になりますのでそもそも「株」とは基本的にオーナーとか、企業家とつながりのある出資者だとか偉い人たちや大金持ちが持っているものと考えていいでしょう。一般の人が簡単に手に入れられるものではありません。
新規公開するとどうなるのか。
ただし、株式を公開したいわゆる「上場企業」は違います。これは一般の人々にも「お金出してくれてありがとね証明書」を公開して買ってもらっているんですね。つまり、誰でも出資者の一人になれるわけです。
企業が「うち、もっと大きな事やりたいし、必要な資金集めたいからみんなに株式公開して上場しますよー」と発表するなど「株」を世に売り出して、誰でも株取引ができるようにすることをIPOといいます。
企業の上場にはメリットもデメリットもありますが、この話は今回の話とは少しそれてしまいますので別の機会に。
IPOの勝率(利益を出せる確率)を見てみよう。
IPOは株価が上がる?
ここで大切なのはIPO・・・つまり新規公開した株は多くの場合、公開後にその株の価格が上がるという事。実際に2015年には97社が上のIPOを発動しましたが84勝11敗2分けとの結果。
これは勝率で考えると86.5%です。勝率だけで考えるとめちゃくちゃに高いですね・・・なんとしても手に入れたいですね・・・と、同じことを考える人はたくさんいます。なので当然ライバルがたくさんいます。
1000の当選枠に10000万の応募が有れば手に入れるには抽選を受けなくてはなりません。「資金を増やす為にまず抽選を突破する」これがIPOに対する取引の基本的な考え方になってきます。
「あれ、なんか聞いたことあるぞ!」
「いまさらIPOなんて」という方もうちょっとお待ちを。
石橋をたたいてダメそうなら渡らない私が言いたいことはここからが大切です。
IPO=儲かるの考えは初心者殺しの甘い罠
全体の勝率に踊らされないで。
先程86.5%の確率で値段が上がる。といいました。これは紛れもない結果であり事実です。しかし、これがいわゆる株初心者の心理をくすぐる甘い罠なのです。IPOやったら儲かるぜひゃっはー!!!と単純に考えてしまった方。それ罠です。
良く考えてみましょう。86.5%の確率であがる・・・これは全ての株を購入できればの話ですよね。何度もいうように実際はIPOの当選率は低いです。
そのため人によっては運悪く値段が下がる13.5%の方しか当たらない可能性も大いに考えられます。でもそうなってしまった場合、その人にとっては勝率0%になってしまうんですね。
初心者が挫折してしまう仕組み
初心者はそこで痛い目にあって挫折してしまうのです。そしてたちが悪いことに実際に値段が下がるであろう株式は”当選者が多い”という特徴があります。
つまり値下がりしそうな新規公開株式=外れくじをつかまされる可能性が高い株式ともいえるのです。株価は「買いたい人と売りたい人」のバランスで上がったり下がったりしますからね。※詳しい仕組みはこちらをどうぞ
ちなみにIPOには「当選後、辞退することが可能」です。これが大切なポイント。株価が下がることを判断できる株主は例え当たったとしても”辞退”します。さらにその辞退された分が、補欠当選した初心者に回ってくることもあります。ここで後先考えていない初心者の方が「やったぜ。外れたと思ったらキャンセル発生して買えた!」と喜んでしまうんですね。
しかし実際には、下がるであろう株をつかんでも辞退しない人が余りにも多いです。当たった喜びと「もしかしたら・・・」の感情が働いてしまうのでしょうか。ある程度IPOを見ている人であれば「これは下がる」と判断できる株式もそのままつかんで自爆してしまう。
これは株取引において以外にも言えることですが人は未確定の物に対してはなぜか、「自分に都合のよいように」考えがちです。 何となく思い当たる節はありませんか?
IPOが盛り上がる中で結局誰が喜ぶの?
さて上のようなことが水面下で起きていて、これで喜ぶのは誰でしょう・・・。それは「証券会社」でしょう。主幹事ともなって「みんな下がると判断したみたいで売れ残っちゃいました。」といった事態は避けたいでしょうしね。
また、後々の事を考えれば広告代理店・メディアを通じて「IPOは儲かる」の風潮を流すことで今まで株に興味のなかった人を、株の世界に呼び込み取引を増やすという目的が達成できます。同じように「株主優待ブーム」からも見え隠れするような気がいたします。
さて、話を戻しましょう。
- IPOは簡単だよー
- 儲かるよー
- 買わないと損だよー
- 当たったらすごいよー
のような情報は一方では初心者向けに発信された情報でありながら、一方では初心者殺しな情報なのです。大きな声で「儲かるよーすごいよー」言っておいて、小さな声で「下がるものもあるけどね(ぼそっ)」という感じ。
そしてその判断基準が判らない初心者は餌食となってしまうわけです。IPOに対しての考え方で「初値が下がる可能性もある」という肝心の所がすっぽり抜けているんですね。
大切なのは3つのプロセス
IPOに応募して当選する・・・事が目的なのではなくこれはあくまで通過点。
大切なのは
IPOに応募して当選する
↓
「それが上がる株なのか下がる株なのか判断する」
↓
判断次第で買うかやめとくか決める。
この3つのプロセスだと思っています。そして判断が出来れば爆弾を他の人に押し付けて当たりくじだけを虎視眈々と待つ手法。これが私が初心者かつ資産の少ない方におすすめするリスクのない手法の一つです。
IPOに対する考え方の一つとしてお考えいただければ幸いです。それでは絶対に狙わなくてはならないIPOと、絶対に買ってはいけないIPOを見極める具体的な方法と判断基準に関してはこちらをどうぞ。