株取引の具体的なリスクを知っておこう。
さて、IPOについて深く掘り下げて行く前に少々寄り道を。株取引において大切なことですのでどうぞ、お付き合いくださいませ。
先日の記事で少しだけですが、株取引におけるリスクを受ける仕組みについて触れてみました。この時の記事がこちら
今回はより具体的にご紹介いたします。
損益を避けるに絶対はありませんが、借金は確実に回避できます。
リスクを軽減するためにまずは知ることから始めましょう。 さて、「株取引をする」と聞いてよくあるマイナスイメージの代表として「借金になったら嫌だ」というご意見がありましたので、今日はその「借金」について学んでいきましょう。
どうして株取引で借金が発生するのか。
まず初めに言えることは「身分相応の事をやっていれば、借金は発生しない」、「欲張らなければ、借金は発生しない」という事です。誤解があってはならないのですが、そもそも通常の株取引であれば「借金」というのはありえないものです。
例えば・・・ ある日10万円でA社の株を買ったとします。A社がある日突然倒産してしまい、株の価値が0円になってしまったら損益は10万円となりますよね。
間違っても11万円の損失にはなりませんし、当然50万、100万の損失にもならないでしょう。※厳密に言えば、「証券会社に対する手数料分損した!」などは考えられますが。
なんだよ、当たり前じゃないか!という方もいらっしゃるかと思います。しかし、株取引のやり方によっては買った時の値段・初期投資の値段を超えて借金が発生してしまう状況があるのです。
そのキーワードは「リスクさえかければどんなタイミングでも利益を出す手法がある 」です。こちらを頭に入れて下をお読みください。
借金が発生する可能性
その①信用取引
借金が発生する可能性のある手法の内、1つ目は「信用取引」。いわゆる”レバレッジ”を利かすという手法です。レバレッジとは英語で「てこ」という意味ですね。
資金にてこを利かすとは。
具体的に考えてみましょう。
私がなけなしの20万円を握って、A社の株を購入したとします。これが通常の株取引ですね。しかし、「信用取引」を利用すると持ち金の3倍の60万円まで取引が出来るようになります。足りない分はお金を借りるイメージでいいと思います。
単純に効率が3倍ですから、「利益が出る」と判断できた際には効果的ですね。利益が出れば3倍ですが 当然損益が出れば3倍です。 いわゆるハイリスクハイーリターンというやつですね。
これがレバレッジを使用する魅力です。種類は違いますがレバレッジの言葉のイメージは「FX」がよりポピュラーでしょうか。レバレッジ何百倍の取引をして一気に破産というケースは本当かどうかは別として、ネット上ではちらほら見かけます。 そしてまた、一日10分で大儲けとか主婦が8億円儲けました!のようなFXの煽り広告記事を見かけることがありますが、基本的にそれらが出来る人はほんの一握りか、まやかしです。
変な幻想を抱くのは非常に危険ですので、それこそ時間を戻す能力がない限り低資産で挑戦するのはお勧めできません
その②空売り
そして借金が発生する可能性がある取引手法もう一つは「空売り」です。 耳にしたことはある・・・という方も多いのではないでしょうか。
空売りとは持っていない株を売るってことなんです。 「ん?持ってないのに売る?詐欺か何か?」と思われるかもしれませんが、そのからくりはこうです。
ステップ①
持ってない株式を借ります。
↓
ステップ②
その株式の価格が安くなったと同時に買い戻します。
↓
ステップ③
その差額があなたの物という訳。
これだけの説明だと、いまいちイメージが湧かないかもしれませんね。
早速、具体的に考えてみましょう。
空売りを具体的に説明してみる。
現在50万円のB社の株があったとします。
私はこれが今後下がると予想し50万円で株を借ります。 ※株価が今後下がると言うのがポイントですよ。
↓
そして借りた株を、現時点の株価50万円で売ります。
↓
元々借りている株ですからいつかは返さないといけませんね。しばらく様子を見てみましょう。
↓
数日後、予想通り株価が30万円まで落ちたところで株を購入し、借りた株を返します。これで貸し借りはなくなりました。
そして、お気づきでしょうか。これで差額の20万円儲かってるんです。
これが理想的な空売りのパターンです。この方法を使えば、株価が下がりがちな時期でも利益を生み出すことが出来ますね。 つまり、論理上は株取引においてはいつでも利益を出すことが可能というわけです。
ただし、ここで注意なのが空売りには期限があるという点ですね。借りた株は6か月以内に返さないといけません。さらにその間金利も発生します。
つまり6か月間の間に予想に反しどんどん株価が上がってしまうと・・・これが損失になるわけですね。 ただ、これが借金になるってどういうことなんでしょう?その仕組は下の通りです。
空売りの一番怖いところ
空売りの怖いポイントは損失に天井が無いことなのです。よく青天井という言い方をしますね。 この天井についても具体的に説明してみましょう。
先程私が空売りによって借りたB社の株。
50万円で借りたものが予想に反し、その後どんどん値上がりをして60万になったり、100万になったり1000万になったらどうでしょう。
借りていたB社の株を返すために、6カ月以内に買わなくてはならない株の値段がどんどん高くなっていくわけですから損失は50万円からの差額・・・つまり上のような上がり方をすれば-10万、-50万、-950万とあっという間に損益が膨らむという訳です。そして、その損失の上限がないことを「天井がない」と例えているのですね。
一方、空売りというテクニックを使わずに自分の資産からB社の株を50万円で買った場合、損失の上限は50万円です。(B社が突如倒産して株価が0円になってしまったら50万円がパーになります。)よって損失の天井は50万円なわけです。
空売りの恐ろしさは「利益に天井はあるが、損失に天井が無い」という事なんですね。
その③追い証
そして上の二つに共通して言える恐ろしい項目が、「追い証」です。 上の二つの取引においては基本的に「貸し借り」が発生するため、担保が必要になります。無担保でほいほい貸してくれるほど世間はあまくはありません。そして「追い証」とは株の価格の変動により、追加で担保を入金しないといけなくなる状況をいいます。
取引の大きさによっては手持ちの資金を軽く吹っ飛ばせる力がありますし、「追い証を払わないと今迄つぎ込んできたお金がパーになる」という事から、「何とかして納めないとやばい」と人の心理状況を見事に追い込み揺さぶってきます。 ナニワ金融道という漫画があるのですが、後に引けなくなった校長先生が追い証を払い続けるために学校の資金を着服する…なーんて話もありました。
まとめ
いかがでしょうか。いわゆる株で借金とはこれらのケースで発生することが多いです。他にも逆日歩など様々な要素はあるのですが、逆日歩に関しては「浮動株・特定株」の解説の際するとしましょう。また、新しい用語が出てきてしまったので一旦忘れてください。
一度に説明しても文字数が多くてまとまらないのでなかなか理解をするのが大変ですので今回はここまでにとどめておきます。
信用取引も空売りも株取引を行うにおいては良くある手法です。そのコツやらうまいやり方を解説するサイトはたくさんあります。特に空売りは株取引をするにおいて重要なテクニックではあるといえます。
ですが、それなりにリスクが大きいという事で小心者の私は利用をお勧めしません。リスクの無い方法だけでこつこつと資産運用とつきあっていけば、借金になる恐れはまずありません。身分相応の稼ぎ方っというものがあるのですから、我々庶民は夢を見ずにじっくり行きましょう。今回の記事で「株取引に対しての根拠の無い不安感」がなくなれば幸いです。
キノでした。